感想は十人十色でも、文章の主張は1つであるべき
ライター業に多いクレームは
「こちらが注文した内容と違う」
「ウチのサービスの事を解っていない」
「納期が遅い」の3つで、
納期以外のクレームはほぼ書き直しになります。
(書き直しは、ほんっとに大変です。納期のクレームは次回の依頼に響きますよー)
勘違いしないで頂きたいのが、クレームがないからと言って僕の文章が
「お客様のサービスを理解した素晴らしい文章だ」と自慢したいのではありません。
ただ「読んでもらえるように工夫している」だけです。
今回は、その「工夫」について書こうと思います。
1.読んでもらう文章づくりには、公式みたいなものがあります
それは「自分を登場させない」ということです。
なんだか悟った言い方になりましたが、
決して、お坊さんが言う「無我の境地じゃ!」みたいな心で書けという事ではありません。
単純に「自分の主張を書かない」ということです。
これが、プロのライターになればなるほど、難しいんですよね。
自分の文章なのですから、そりゃ自分の意見くらいは書きますけど
ついつい「これは、こうあるべきだ」みたいな“べき論”をしたくなる時もあります。
それをグッと堪えて「絶対に、これはこうだ!!」みたいなことは書いてはダメです。
ただただ、クライアントさんの気持ちを代弁するように書いていきましょう。
(エッセイストさんには難しい作業だと思います)
ついつい、文章作成を頼まれると「よし!カッコいいところ見せちゃうぞ!」と思って
自分の知識や主観を織り交ぜた、文豪きどりの文章を書いてしまいがちですが
ライター(物書き)は、文化人になってはダメです。
あくまでも「ビジネスで文章を書いている」ことを忘れないようにしましょう。
自分のブログなら、好き勝手な事を書いてもいいのですが
お客様から「これを題材にして、こういうので書いてほしい」という
ご要望をいただいたら、それに応えればいいだけです。
――なんとなくですが、僕はこういう仕事は
さび抜きの寿司屋(カウンター席限定)でイメージしてしまうんです。
この世界では「さび抜き」がデフォルトだし、大人気。
お客さんが「おい、兄ちゃん。マグロの握りを頼まぁ!」と言われれば
「へい!マグロいっちょう!!ガッテン承知!」とマグロを握ればいいだけ。
赤身か大トロかは分からないけど、とにかく握ってみる。
間違っても、ワサビは入れないのが絶対条件。
勝手にワサビを入れて「へへ、これがホントの寿司の味だぜ?」なんてことはしたら
「なに勝手にマグロを辛くしてんだ、この野郎!」って怒られます。
時にはワサビを入れても構わないってお客さんもいるけれど、
あとで「辛くて、お腹こわしちゃったぞ!この野郎」って怒られるのがオチ。
――そんな感じです。
分かりにくい例だったかもしれませんが、勝手にアレンジするな。という話です。
(あ、たった一行で説明できちゃった)
2.それでも面白いかどうかを決めるのは相手次第
料理も会話もサービスも、良いかどうかを決めるのは、相手です。
何かのテレビ番組で見たのですが、
海外の子供に日本の一流シェフの料理を食べさせてあげよう!という企画がありまして・・・。
僕からすれば「すごい!銀座や青山、六本木ので人気の料理を食べられるのか。いいなー」と羨ましく思っていたのですが、
その国の子供たちは「いつも食べている、蒸かしたジャガイモの方がおいしかった」みたいなことを言っていたのを覚えています。
――文章もそんな感じです。
ライターは自分の知識を高める事はもちろんですが、それに固執するのはNGです。
クライアントのお題に合わせて柔軟にシフトチェンジする位のスタンスが丁度いいと思いますよ。